「神は人間の弱さが生んだ」アインシュタインの「神の手紙」

今回はアインシュタインの「神の手紙」について話します。

20世紀最高の物理学者として知らない人はいないと思われるアインシュタインですが、宗教についての考えを綴った「神の手紙」がオークションにて289万ドルで落札されました。

この「神の手紙」は、アインシュタインが亡くなる約一年前の1954年、当時74歳の時に書かれたものです。

送った相手は、ドイツの哲学者エリック・グートキントで、その手紙には、「神の存在」に対する考察が1ページ半にわたってドイツ語で綴られていました。

手紙の中では、神の概念について以下のように記しています。

 

「『神』という言葉は私にとってまったく無意味であり、人間の持つ弱さが生んだ産物以上の何ものでもありません。聖書は尊ぶべきものではありますが、それでも子どもじみた原始的な伝承の寄せ集めに過ぎないのです。」

「神に対するいかなる解釈も、この私の考えを変えることはないでしょう。」

このような表現からも、彼の宗教に対する否定的な態度をうかがうことができます。

また、ユダヤ人というアイデンティティに対する考察も見ることができます。

アインシュタインは、ユダヤ教も他の宗教と同じように「原始的な迷信の権化」であると書いていて、「ユダヤ人は、私自身もその内のひとりであることを快く思っていますし、精神的にも深いつながりを抱いているのですが、それでも他の人種とは異なる何か特別なものを持っているとは思っていない。」と、ユダヤ人を特別視することもありません。

 

1996年に出版されたアインシュタインの伝記によると、実はアインシュタインも幼少時代は信心深い有神論者でした。

それが、13歳の時、何でも信じて無批判的である宗教的態度に嫌気がさし、考え方を変えたと言います。

彼はこの時の心情について「宗教は嘘を信じさせ、騙そうとしていると感じた。」と振り返っています。

その一方で、アインシュタインは、「自分は無神論者ではない」とも主張していました。

「無神論を熱狂的に支持することは、神を絶対的に信じる宗教の態度と同じもの。」だというのが彼の基本姿勢なのです。

つまり、神が存在するかしないか、どちらも証明できたわけではないという立ち位置でした。

 

アインシュタインは、17世紀に活躍したオランダの哲学者スピノザの「汎神論」という神の概念に賛同しています。

スピノザは「神」という概念を通して、この世界を一元論として解釈した最初の思想家で、スピノザ以前は、フランスの哲学者デカルトが唱えた物心二元論が支配的でした。

物心二元論は、この世には「物」という実在と「心」という実在が別々にあって、それら二つを調和させているのが神だとする考え方です。

それに対して、スピノザの「汎神論」の「汎」には、「広くすべてに行き渡る」という意味があります。

つまり「汎神論」において、神は存在するすべてのものに浸透していて、この世界はまとめて神の一部であるというのです。

これは我が国の神道に通ずるものがあります。

森羅万象、八百万の神。

 

この、スピノザの「汎神論」はキリスト教に大きく反するものとして、当時の社会では到底受け入れられるものではありませんでした。

なぜならキリスト教では、まず神が存在し、その後に世界を創造するため、神はすべての存在に先立って存在しているからです。

しかし、「汎神論」における「神=世界そのもの」という考えに立つならば、もはや神はすべての存在に先立つ超越者ではなくなってしまいます。

つまり、スピノザの唱える神は、キリストのような人格神ではなく、万物の中そのものに神性が宿ることで自然界の美しき法則を成り立たせているのです。

このようなスピノザの思想に触発されたことで、アインシュタインは自然界に合理的な法則をもたらすための「相対性理論」を生み出すに至ったのでしょう。

そして、日本を愛していたともいわれるアインシュタインと神道との世界観の繋がりも見えてきます。

 

アインシュタインは1922年に来日し、次のような言葉を残しています。

「私は地球上にこのように謙虚にして品位ある国民が存在することに深い感銘を受けた。

私は世界各地を旅行してきたが、いまだかつて、このような気持ちのよい国民に出会ったことがない。

日本の自然や芸術は美しく、深い親しみを覚える。」

日本に対する思いがしっかりと伝わってきます。

アインシュタインは「神の手紙」で「人間の持つ弱さが生んだ産物」と書き残しているわけですが、宗教に対して人々が依存する姿勢と、本来、偶像崇拝を禁じていた神の意志に背いて人々を支配しようとしてきた権力層に対して警鐘を鳴らす意味があったと思います。

宗教に対する議論がタブーとされてきた事自体も本来は不自然な事です。

タブー視されている事の中に暴かれてはいけない真実があるのではないでしょうか?!

一度自分自身の考え方を見直してみるのもよいかと思います。

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上城 孝嗣web master

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